円筒分水巡りとは
社会科と理科が好きなあなたに、円筒分水巡りをおすすめします。
円筒分水はとても美しい装置ですが、そればかりでなく、いろいろな魅力があります。さぁ、円筒分水巡りに出かけましょう。

STEP 1 とにかく美しいから巡る
 円筒分水はとにかく美しいものが多いです。
 かっぱぁさん作・「円筒分水・円形分水全国版」には、数多く円筒分水の位置が収められていますので、これを利用しない手はないでしょう。
 円筒分水は農業施設で、時には田んぼのあぜ道や草むらの中を歩くことがあります。マムシ対策のためにも長靴を忘れずに持って行きたいところです。
 また、円筒分水は現役の農業用水施設です。歴史を紐解くと分かりますが、大変大切なものですので、決してゴミなど捨てないよう心がけなければなりません。

STEP 2 宝探しのようなもの
 これまでのところ、円筒分水の全容は解明されていないようです。
 まだまだ隠れている円筒分水が発見されるかもしれません。あたかも宝探しのようです。
 農林水産省などの国家機関が調査すればそれまでかもしれませんが、なんといっても日本の農業用水路の総延長は40万キロメートル。この全貌を調査することはまず不可能でしょう。日本最大の徳水園から古川の円筒分水まで大小さまざまな円筒分水は、あなたの身近なところにあるかもしれません。

STEP 3 歴史を知ろう
 用水は米などの作物を育てるためのもの。
 水が無ければ米が作れず、文字どおり「おまんまの食い上げ」です。水は生活の糧・源ですが、使いたいときに使いたい分だけ、いつも水があるとは限りません。
 より豊かな生活をするために水田を広げればそれだけ多くの水が必要になります。
 戦国・江戸時代以降、開墾奨励によって農地は広がりましたが水の確保が追いつかなかったようです。このため、限られた水を求めて「水争い」が各地で起きました。時には犠牲者も出るほど苛烈な水争いもありました。我田引水のことわざのとおりですが、実態は筆に尽くされないことも多々あることでしょう。
 こうした歴史、地域社会の構造、政治的力関係の縮図、それらが凝縮されて一つの形となったものが円筒分水です。円筒分水の分水比率は、単に、耕地面積比ではないかもしれません。

独り言:円筒分水を巡りはじめた私とその後
 平成9年ごろだったでしょうか、今市用水円筒分水を見たときに知人から「関東地方には2つ円筒分水がある。もう一つは多摩川だ」と聞きました。多摩川はあの有名な二ヶ領久地です。
 ああ、そんなに珍しい装置なんだ、と素直に思っていたところ、どうやら関東地方には他にも円筒分水があることを知りました。(多古と東金)
 これは調べなければと思い、インターネットを頼りに検索してみると、どうやら全国で30箇所くらいあるらしいとまことしやかに書いてるサイトがあり、検索結果をエクセル表に書き写し重複物件を削除するなど整理すると、やはり30箇所を少し超す程度だったのです。
 それならば「数年かければ全国の施設を巡ることができるだろう」と思い巡り始めました。
 最初の頃は、円筒分水の場所が全くわかりません。グーグルマップ、グーグルアースなど、地図や航空写真をひたすら調べます。ネット上で水路を追っていきながら探す作業です。これはさすがに堪えましたね。
 平成18年ごろだったでしょうか。ダム愛好家の知人から「はやくサイトをつくらないと先を越されるよ」「まずは情報を発信することが大事だ」と告げられ、ホームページビルダーを買い込むはめに。
 平成19年の5月連休になんとかサイトの体裁を整えたので、本ホームページを公開。すると、tokuyan3さんやたかを@神戸さんなどから「他にもあるよ」と掲示板に書き込まれはじめました。
 また、ダム愛好家の仲間からの情報で、アースダムの利水放流施設の一部に円筒分水が設置されていることも分かり、いよいよ数も増えてきました。
 この間、円筒分水を見て廻りましたが、「全国でも珍しい施設です」とか「県内では珍しい」とか説明されている看板を見かけました。まったく、全国にいくつあるかも分からないのに、のうのうと「珍しい」などと書いて。めずらしくないかもしれないし、やっぱり珍しいかもしれないし、とにかく全容を解明しなければ。さらに気合が入ります。
 また、円筒分水のルーツも気になるところで、なかなか文献のない中、国会図書館などでヒントを得、どうやら可知貫一先生が発明者だということが分かってきました。いまいち決め手を欠いていたところ、知人から農業土木工学会誌のコピーをいただき、これがまさに円筒分水発明者可知貫一先生の寄稿であり、そのルーツが解き明かされたのです。
 夏休みになると、「子供の自由研究で円筒分水を巡ります」、というお便りもいただくようになり、少しずつですが円筒分水の知名度が上がってきたころ、彗星のごとくかっぱぁさんが現れて西日本を中心に新たな円筒分水を発見され、さらにグーグルマップを利用した「円筒分水・円形分水全国版」を作成されました。
 これは役に立った。とにかく、探す手間が激減。みんなで情報を共有できることが一番ですね。さらに、近畿方面ではrasさんが現れ、滋賀県が一躍円筒分水王国に認定される事態となりました。
 まだ未確認の円筒分水もたくさんあるでしょうし、とにかく巡りつづけていかなければ。また、レポートには写真だけでなくその用水の沿革も知りたいところです。まさに、ライフワークとなりつつあるこのごろです。
 円筒分水巡りの楽しさは、@美しさの鑑賞、A宝探しと全国コンプリート、B水に関する歴史探訪、この3点セットです。みなさんも、円筒分水を巡ってみてはいかがでしょうか?




















 TOP >円筒分水巡りとは