円筒分水カルテ
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徳水園(とくすいえん)
イメージ 胆沢平野を潤すには、胆沢川の実力はあまりにも小さすぎたようだ。胆沢川の水量不足と、寿安堰・茂井羅堰が近かったため、水不足のたびに激しい水争いが繰り返されてきた。このため、胆沢川の上流に石淵ダムを建設して水源の強化を図るとともに、円筒分水の設置により水争いを解消させた。この円筒分水の設計にあたっては、下九沢分水池をモデルとされた。
寿安堰の開祖は伊達政宗の家臣後藤寿庵とされ、江戸時代に開かれた。茂井羅堰は寿安堰よりも古く茂井羅という伝説的な女性により1570年ごろに開削されたといわれている。いずれにせよ、400年近くにもわたり、激しい水争いが繰り返されてきたことは言うまでもない。
現在でも十分なQが確保されていないが、石淵ダムの変わりに「胆沢ダム」が建設中だ。これにより、水不足への心配は格段に改善されるため、分水工が”円筒である”必然性はなくなる。しかし、先人への敬意や水への労苦を語り継ぐため、この円筒分水はそのシンボルとして、また学習素材としても永遠に活躍することとなる。
また、徳水園は園地の高台から見渡すことができるが、これは水を公平に分けていることを”魅せる”ための配慮で、設計時に配慮されたものである。
とても素晴らしい計画である。この計画により、現在の施設は平成7年に一回り大きく改修されたらしい。

■名称  徳水園
■用水名 寿安堰・茂井羅堰用水
■管理者 胆沢平野土地改良区
■所在地 岩手県奥州市胆沢区
■完成年 1958年(昭和33年)
■緯度経度 (調査中)
■形式 全周溢流式
■規模 内円筒24m
■分配数
■鑑賞に適した時期 4月(通水式)から8月下旬
■総合 ★★★★★★
 □大きさ ★★★★★★
 □美しさ ★★★★★★
 □迫力 ★★★★★★
■管理人の雑感
円筒分水の聖地である。
内円筒直径24mは日本一の規模。(下九沢はサイフォン式ではないので対象外)
美しい施設の裏に隠された水への労苦。ここを学ばずして、水文化を語ることなかれ。
円筒分水の周辺は大変良く整備された公園となっている。駐車場はもちろんのこと、道路を挟んだ向かいにはおみやげ屋もありとても積極的だ。
かんがい期のはじめには「通水式」が執り行われ、NHKも朝のニュースで取り上げている。
この施設の下流には蛸の手分水工がある。円筒分水に良く似た施設なので、これも見学するとよい。このほか、ミニ円筒分水工も存在するらしい。
■ 外部リンク
河川ネット 胆沢平野土地改良区 疎水名鑑

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